ごんの株日記……その2
by ごんぱち
●十月某日「ミニ取引だよ、ひとまずは」
証券会社を選ぶ、となったが、ゼロから始まっている自分に判断基準などない。
ともかく株を買おう。自分が株を持てば、何が分からず何が分かるかも分かるというもの。それが、ゼロがイチになった段階であろう。
その時まで、この言葉を胸に刻んでおこう。
「下手な考え休むに似たり」
さて、私の資金は少なく、収入も少ない。そして株の知識もない。
従って、一番最初に買う株は、多かれ少なかれ損をするであろう事は目に見えている。ならば、出来るだけ被害の少ない、つまり、出費の絶対量の少ない取引を行うべき。
となれば、やはり「ミニ株」となる。
ミニ株は通常の十分の一である百株単位で扱えるのが何より強い。多分、色々リスクはあるのだろうが、買う時の支払い金以上に損はしない。これは株式の良いところ。
そこで、ミニ株を扱っているかどうかを基準に、証券各社のホームページ巡りを行う事となった。
さて、証券会社と言っても、どこに行くか?
前回の個人サイトに、ミニ株を扱う証券会社一覧があったが、幾ら何でも単一サイトにべったりというのも工夫がない。
というわけで、Yahoo!検索開始(それは単一のサイトではないのか?)。
> 証券会社 をキーワードに検索した結果
> 4件のYahoo!カテゴリ、 40件のYahoo!登録サイトに一致しました。
……相変わらず多い。
しかもチェックしてみると、単に「証券会社」というキーワードが混じっただけの、証券会社以外のページまでヒットしている。
絞り込もうかとも思ったが、ひとまず一番頭にあるリンク集に当たってみた。
接続――表…………示……。
――重っ!
ページがでかく、フレーム分けしてあるせいで、画面が狭い。下のフレームなんてほとんど使ってないぞ、画面もったいないじゃん!
ページ制作者の意向は全く無視し、片方のフレームのページだけを開いて、っと。
カリカリカリカリカリカリカリカリ……。
やっぱり読み込み重っ!
日曜日の午後十時に探しているのが間違いだったか。これ以上ないぐらいのインターネットのラッシュアワーかも知れない。
幸いにも、フリーズせずにページを読み終えた。
えーと、つまり金融関係全般のリンクなわけね。
FP会社、中央銀行、長期信用銀行、信託銀行、都市銀行――はぁ、ジャンルだけでも色々あるものですなぁ――地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫――扱うのは金ばっかりなのに、思えば珍妙な話だなぁ。金が金を産むなんてね――JAバンク、証券会社、投――うおっとっ! あったあった、うっかり見落とすところだった。
下の方には何があるんだろ?
ええと、投信会社、投信評価会社、ファイナンシャルプランナー?
――どういう職種だかもはや分からん。
なんかこう、この業界にそこはかとない無理と不自然と不健全さを感じるのは、自分の気のせいだろうか(これから株を買おうって奴が何を言っているのか)。
ともかく、証券会社だ。
ええと、証券会社って言っても本当に多いなぁ。仮にこの他にHP持ってない会社があっても、到底調べる気にならないや。
えーと、アーク、赤木屋、泉……。
(数えている)
29会社。一つ一つ調べると考えただけで億劫になって来そうだ。
しかし、統廃合前の旧名が併記された会社も結構ある。バブルの余波って奴かなぁ。
何はともあれ、標的は決まった。
チェックし易い様に、これまたページ制作者の意向を無視し、リンクページを小さく切り詰めて使う。自分のハードディスクにだってブックマークは付けられるし。
では一件目!
えーと、画像をオフにしているから文字が一つも表示されない。
HP制作の基本その一、画像にはタイトルを併記すべし。嫌々作っているんだろうなぁ。
却下。
画像オンにして二件目閲覧開始。
「不正な処理を……」
二度試す気なし。
はい、次!
「このページ内の情報を表示するには以下のプラグインを……」
却下、次!
……読み込んで、止まって、読み込んで、止まって(無限)。
――ヤラセではありません。
何なんだこれは。うちのブラウザは確かにネスケ4さ。でも、他のページを見る時にはほとんど問題なんて起こらないぞ。マシンパワー自慢をしたいなら、社内でやりたまえチミ。
他人のマシン状況を想像する力のない会社が、伸びるものか。
ともかく、まともに表示出来るもののみを相手にする(偉そうだな)。
えーと次は岩井証券、ジャバスクリプトエラーが山ほど出たが、まあ割とちゃんと見られるや。サイト証明とかもあるんだ、へぇ。
ネット口座開設の登録フォームがあるなぁ。
これ使うと、口座が作れるわけだな。ふむふむ。インターネット取引の場合、推奨ブラウザがちょっと気になるがまあ、ネットに限るつもりもないし。ふむ。
ミニ株の取り扱いはないのかな? えーと、コールセンター(よく分からないが、ネットと対比してたので、電話を使っての取引とかそんなんだろう)側サービスの商品説明の中に、「ミニ株は取り扱っていません」という文言がハッキリあった。
でも、結構親切に色々記事がある。サイトマップも完備しているし。
ここでも「株式を始める人のために」みたいな文章があるが、やはり「余裕を持て」に尽きるらしい。誰でも分かりそうなもんだが、そうでもなくて失敗する人がもの凄く多いって事の表れなんだろうなぁ。
なんか丁寧に作ってあって好印象なサイト。
お次、件の個人ページにも載っていたウツミ屋証券。ここは確実にミニ株を取り扱っている筈。えーと、あったあった。取扱商品の中に、ミニ株があった。画像オフにしてもちゃんと見られるサイトだ。この辺に会社のやる気の差というものが表れるワケよ(何様だお前は)。
手数料を見たところ、取引手数料は額に応じて、国内の口座管理料はロハ。
でもよく見ると、ミニ株は十分の一単位のくせに、最低手数料は千円、通常の株は二千五百円。この辺に皺が寄せられているわけか(それでもミニ株の旨味はあるわけだが)。
ここは使えそう。
色々見比べていくと、単に看板や求人案内を置いてあるだけの様なサイトも結構多い。こういう会社が、入社面接の時に「我が社のHPを見ましたか?」とか質問しているかと思うと、片腹痛い。
大体トップで取り扱い商品へのリンクがない様なサイトは今ひとつだ。
結局満足に見られるサイトを構え、ミニ株を取り扱っている会社は、ウツミ屋証券とUFJつばさ証券の二つ。
いずれも、口座管理料は無料で、取引手数料の下限が千円。ふむ。
そうそう、新たに判明した事だが、ミニ株というのは正確には「株式ミニ取引」と言うらしい。
――しかし、手数料って軽く言ってるけど、よーく考えてみれば、千円を百株買った手数料が千円だとして、百万円分買えば、手数料だけで一万円。この低金利時代に。なんか、証券会社凄く儲けてないか?
やはり、プラマイでゼロに達する事すら、難しいのかも。
何となく見方も分かって来たところで、上記の二社以外に、件の個人サイトにあったミニ株取扱証券会社、数社も確認してみる。
見るべきポイントは、手数料と口座管理料らしい。口座管理料は、安ければロハ。
明光ナショナル証券株式会社――って、よく考えると、ここも株式なんだ。ロボットがロボットを作る、みたいな滑稽さがあるなぁ。
サイトマップがあるので割と見易い。HPで勝負しようと思っているところは、結構サイトマップ付けてるとこ多い。
ここは手数料の最低額が八百円、か。なんか、計算法がゴチャゴチャしてそうだけど。
口座管理料を取る所は除外して、と。
大和証券は、一定数に株が貯まると有料の口座に振り変えられる、か。
へー、株式総会の議決権はないんだ。
手数料はネットを使うと最低額が五百円か。千円の株でもあんまし変わらない。どこに落とし穴があるんだろ?
センチュリー証券が……時間のせいかやたら重い。
まあ、ともかく、最低手数料が七百五十円。計算例を事細かに書いてあるので、算定法が分かり易い。値段が一緒なら、株の数が多い方が手数料が多い、か。ふむ。
でも、口座管理手数料がどこにも書かれてないぞ? 一応件の個人サイト調べでは、無料だった筈だが。
めぼしいのは、大体この五社か。
来月には、ここから絞り込んで、口座をともかく開こう。一長一短あるだろうが、下手の考え休むに似たり、ここはインスピレーションですぱっと決める事にしよう。
……しっかし、同じ料金表の下の方に、五億円とか書いてあるのが何というか、不思議な感触だ。もっとも、そんな金額を扱う人は、こういうページ見ない気がする。
次回「口座開設への道」。乞う、ご期待!
<コラム:自己流解釈「株式ミニ取引」>
ところで、色々とページを見るうちに、ミニ株について分かって来た事がある。
ミニ株が実にイレギュラーな存在である、という事。
そもそもこんな単位で株は売っていない。証券会社が判断して買い付けた株を、顧客である自分たちが分散して所有する、という形らしい。
だから、銘柄は相当限定される様だし、株主向けの特典の類は換金後分配される(電車の切符一枚とか貰っても、分けられないし)。株主総会も、一通の招待状で十人は出られない。証券会社側も端数の株式を持つ手間とリスクを負うから、本来の千株単位に達したらさっさと通常口座に繰り上げて、ミニ株なんて止めさせたがる。
要するに、みんなで一頭の和牛のオーナーになる、和牛商法みたいなものか(人聞きの悪い)。
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