皆さん、こんにちは。
先週は、外国株の決済の仕組みとして、外国株券振替決済制度のことを中心にお話をしました。その際、外国株の株券そのものは、日本国内に持ち込まれることなく、東証の100%子会社である保管機関の日本証券決済株式会社(以下「日証決」)が指定する各国の保管機関(以下「現地保管機関」)に日証決名義で保管、管理されていることをお話しました。
本日は、日証決名義になっている株券に支払われた配当がどのように皆さんの手元に支払われるのかについてお話したいと思います。
配当金の流れを理解するためには、(1)東証上場外国会社、(2)日証決(及び現地保管機関)、そして、(3)会社毎に定められている、配当金の支払事務を取り扱う金融機関(以下「配当金支払取扱銀行」)の3者の関係を整理しておくことが重要です。
東証上場外国会社の配当金は、日証決の現地保管機関に現地通貨でまとめて支払われ、現地の源泉所得税額が控除された後の金額が、現地保管機関から配当金支払取扱銀行に現地通貨のまま送金されます。配当金支払取扱銀行は、受け取った配当金を外国為替相場の買いレート(TTBレート)を用いて円に交換するとともに、その配当金から日本の源泉所得税額を控除(・納付)し、その控除後の金銭を、株式事務を取り扱う機関から受け取った基準日現在の実質株主リストをもとに、そのリストにある実質株主の指定銀行口座に振り込むか、郵便為替によって実質株主への支払いを行います。(配当金の円位未満は切り捨てられて計算されます。)
なお、株式事務取扱機関が基準日現在の株主として把握している株主のリストは、各証券会社が基準日現在の実質株主として申告してきた情報を基に作成したものです。
次に、配当金がいつ時点の株主を対象に支払われるのか、権利確定日(基準日)についてですが、(株券に株主の氏名を記入する)記名式の株券の場合、原則として東証上場外国会社の本国における基準日と同日となっていますが、記名式株券であってもスペインの株券等の場合や、原則、無記名式株券の場合は、配当金支払日の前営業日が権利確定日となっています。
なお、権利落ち(配当金額、権利確定日等)情報は、東証ホームページの外株ウィークリーのコーナー
に記載されています。
東証上場外国株式の配当金については、第1回でも、東証外国株市場の特徴の1つとして、日本株に比べて相対的に利回りが高い銘柄が多数含まれ、アメリカ企業などでは年4回支払われるといった特徴を述べました。皆さんも、外国株の株主になった際には、配当金の仕組みについて理解しておくと役に立つと思います。
次回は、新株引受権その他、株主の権利についてお話したいと思います。
|